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【コラム:D&I】誰もの自分ごとにするために…D&IとSOGI(2)


今回は前回のつづきで、企業で性の多様性からD&Iを実現するときに見える課題のふたつめ「自分は当事者ではないから…という遠慮」からお話を広げます。




アライという存在


私はD&Iの専門家として、ソジテツ開発者として、企業のダイバーシティ担当の方や、LGBT&Alliesの社員グループの方々とお会いすることがあります。ally、アライとは…


「アライ」(Ally=同盟、味方という意味)は、LGBTを積極的に支援する人のことを指し、区別は厳密ではありませんが、不平等の解消や権利擁護のために共に動いてくれる人、LGBTフレンドリーよりももっと強力な味方というニュアンスがあります。(OUT JAPAN ウェブサイトより)


前回お伝えしたように、LGBTQ+というマイノリティの大きな特徴はインビジブルであること(確かにそこにいるけれど、内面的なことゆえカミングアウトしないかぎり他者からほぼ認識できない)ということです。



しかし、同性愛者は異性愛者と比較し自殺リスクが6倍とも言われるように、自分のアイデンティティやパートナーについて隠したり、差別やハラスメントを受けるかもしれない不安を日ごろから抱えること、(結婚できないことによる)収入や社会的サポートへの不安など、強さや種類の個人差はあるものの、生きているだけでストレス要因が6倍ともなります。



アイデンティティ(ここではSOGI…どのような人を好きになり、自分の性別をどう認識するか)は「自分の意思では選べない」からこそ余計に、実際に心無い扱いや発言を受けてしまう痛みや悲しみ、恐怖は、とても言葉では表しきれないものでしょう。



たとえ結婚しているしていないといった、いわゆる”からかい”であっても、すでにマイナス感情が蓄積されているために過敏にもなりますし、「いつ言われるか」「どうやり過ごすか」と常に神経をすり減らしながら過ごしている人もいます。



アライとは、ストレート(当事者ではない)の方を指すことが多いですが、性的マイノリティの方々が組織やコミュニティの中でより良くいられるよう、普段から、あるいはいざという時に手を差し伸べる存在の総称といっていいと思います。



個人的には、アライその人がマイノリティであるかを問わないという解釈がよりD&I的で好きです。アライの人を形容詞では「LGBTフレンドリーである」ともいい、まず包括的な人権感覚がありフェアな見方ができ、その中でも特に身近な性的マイノリティ・性・性別への偏見に対し防止や是正を試みる人々のイメージです。



アライの人々は、

  1. ジェンダーニュートラルな言葉の選び方やふるまい(彼氏・彼女と言わすパートナーといった言い方をする

  2. お嬢さん息子さんでなくお子さんと言う、など)

  3. アウティング(当事者でなく周囲の人が勝手にマイノリティであることを暴露してしまうこと)

などについての知識を学んだ上で、「自分はアライである」ことを示すAllyステッカーなどをPCに貼ったり、ネームカードにつけたりしています。


そのようなアクションで、たとえば同性愛者であることを隠している人に対し暗に「私はあなたの味方ですよ」と伝えておくことで、少しでも安心を与えようとする取り組みが、日本の企業内や自治体ではよくみられます。



個人的に私も、LGBTアライのステッカーをPCに貼って某社のD&Iの研修をしていたことで、「この人は本当にD&Iのことを考えている人だと思った」という匿名の感想を得たり、「実は私は当事者で…」とカミングアウトをして頂いたということがありました。とくに今現在ご自身のアイデンティティと向き合っている当事者にとって「この人になら言っても大丈夫だろうか」「差別されないだろうか」という不安は常にそこにあるのだなと、あらためて心境を思った体験です。



アライの様々な取り組みは、私はとても素晴らしいと思います。自身のアイデンティティを隠している人や、あえて言わない、開示する必要がないと思っている人がいるという中で、いるかわからないけれど、あなたの味方ですよと示していくことは、職場やコミュニティの心理的安全性にも貢献するでしょうし、先ほどの例のように、関わりの変化を促進することがあります。



また、取り組みをしていることで、その企業には価値があると感じる人もいるでしょう。実際日本ではとても先進的であるマルイの方にD&I関連でお話をお伺いした際には、とても刺激を受けたことを覚えています。社内だけでなく社外に向けてとても積極的にLGBTフレンドリーなアクションをしているからこそ、この企業で働きたいと、アライ活動の社会的価値から就職先に選ぶ学生も増えているようです。


【マルイの取り組み】 インタビュー記事(私がインタビューしたものではなくJob Rainbowさんの記事となります)

https://jobrainbow.jp/magazine/marui 



(第三回につづく)








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